キンモクセイの記憶
学生時代、学校からの帰り道に、どこからともなく、風に乗って「ふわっ」と感じるキンモクセイの香りが好きでした。上を見上げると、キンモクセイの花はとても小さく、かわいらしいオレンジ色で、甘い香りと共に「ここにいるよ!」というメッセージを届けてくれました。そんなキンモクセイには、夏に咲いていたヒマワリが持つ存在感や、花屋の店頭を飾るバラやユリに備わった華やかさは感じられません。しかし、私にとってキンモクセイは、秋に訪れる特有の寂しい気持ちにそっと寄り添ってくれる、まるで相棒のような、親友のような存在であったと記憶しています。あれから何年も経ち、秋の深まりと共に「ふわっ」と漂っていたキンモクセイの香りは、いつしか感じられなくなりました。それは、大人になったから…?都市生活の中で、街路樹や庭木が減ったからでしょうか…。
キンモクセイの学名であるOsmanthus fragrans var. Aurantiacus.のうち、「Osmanthus(オスマンサス)」は、ギリシア語の「osme(香り)」と「anthos(花)」が語源となっています。いにしえの人々も、この甘い香りを嗅いで、自分だけの記憶を残したのかもしれません。
先日、中華料理屋さんで桂花陳酒を注文しました。桂花陳酒は、白ワインにキンモクセイのお花を漬けた混合酒です。一口飲んだ後に、急に学生時代の香りを思い出しました。街に出て、キンモクセイの香りを探しましたが、どれも少々甘すぎる香りだと感じました。今のわたしは、年齢を重ねたことにより、あのキンモクセイの「やさしくて甘い」香りに加えて、いくつかの「経験値」がブレンドされた香りが心地よいようです。
kaguralの秋の限定品:キンモクセイブレンドは、 ホーウッドというクスノキ科 の植物がブレンドされています。さらにスイートオレンジやラベンダーといった香りが加わったことで、キンモクセイの愛らしい香りが引き立つように感じます。深みのある、ほのかなキンモクセイの香りとともに、秋の夜長をお楽しみください。
kagural kinmokusei blendのご案内ページ
https://www.kagural.menicon.co.jp/kinmokusei/